今や定番のハワイ料理として世界中で親しまれているが、元々サーモンはハワイ近海で獲れる魚ではない。18世紀末から19世紀にかけて、太平洋を航行していた毛皮貿易船や捕鯨船が、北米西海岸から塩漬けのサーモンをハワイを持ち込んだのが始まりとされている。貴重なタンパク源であった塩漬け魚を、現地で採れるトマトや玉ねぎと一緒に手で揉んで塩抜きし、味わいを柔らかくした知恵こそが、ネイティブ・ハワイアンたちの生活が生んだ食文化の原点だ。
かつて王族の宴や地域の伝統的な祭りであるルアウにおいて、この料理は欠かせない祝福の食卓を彩る一品だった。手で揉む行為は単なる調理工程ではなく、食材に対する感謝と愛を込める儀式でもあったという。時代を経て新鮮な生魚が手に入るようになった現代でも、手揉みという伝統技法はサーモンロミロミの魂として今なお大切に受け継がれている。