かつて日本全国に数千人規模で存在し、企業の総務部を牛耳っていた総会屋は、なぜ急速に姿を消したのでしょうか。その背景には、法改正による厳罰化、警察による組織的壊滅作戦、そして企業のコンプライアンス意識の根本的変革という3つの決定打がありました。
決定的な転換点となったのが、商法改正およびその後の会社法第120条(株主の権利の行使に関する利益供与の禁止)の制定です。かつては総会屋側のみが処罰される傾向にありましたが、法改正によって「金を渡した企業側の取締役・役員」にも3年以下の拘禁刑(旧懲役)または300万円以下の罰金という重い刑事罰が科される双罰規定が確立されました。取締役会にとって、総会屋への裏金支払いは自らの破滅と即座の失脚を意味する構造へと完全に変わったのです。
さらに、各都道府県で整備された「暴力団排除条例(暴排条例)」により、企業が反社会的勢力に利益を供与した事実が公表される仕組みが整いました。企業防衛の現場では、警察OBの受け入れや不当要求防止責任者の配置が義務付けられ、不当要求に対して「毅然として対決し、即座に警察へ通報する」体勢が業界標準となったのです。