宿泊翌朝や帰宅後に発症する皮膚トラブルにおいて、まず突き止めるべきは「何に刺されたのか」という点です。ホテルダニ刺されの症状と疑われるケースの多くは、寝具に潜むツメダニやイエダニ、あるいはトコジラミによる吸血被害に大別されます。
ツメダニとイエダニの特徴として、ツメダニは人を吸血するのではなく誤って刺咬し、体液を吸う性質を持ちます。刺されてから半日から1日ほど経過した後に、下腹部、太ももの内側、二の腕の内側など「皮膚の柔らかい隠れた部分」に赤く腫れ上がる発疹(丘疹)が生じます。一方、ネズミや鳥類に寄生するイエダニが室内に侵入した場合も同様に激しいかゆみを伴いますが、いずれも服に覆われた部位を好んで刺す傾向があります。
これに対し、南京虫の症状と潜伏期間は全く異なるメカニズムを辿ります。トコジラミは夜間に活動し、首回り、手首、足首など「服から露出している部位」を重点的に吸血します。一度刺した場所から移動しながら吸血を繰り返す習性があるため、ホテルベッドの虫刺され跡が一直線または2〜3箇所まとまって並んでいる場合、トコジラミの疑いが極めて濃厚です。潜伏期間については、初めて刺された際は無症状のまま数日から1週間後に強いかゆみが出ることもありますが、過去に刺された経験がある人は即時型アレルギー反応によって翌朝には耐え難い猛烈なかゆみと発赤に襲われます。