今年の処分事例で特に際立っているのが、テクノロジーの進化に伴う新しい形態の規律違反だ。従来の違法薬物だけでなく、微細な神経伝達を補正する最新の着用型デジタルデバイスや、未承認の生体データモニタリングツールの無断使用が摘発されるケースが急増している。
「知らなかった」「うっかり着用していた」では済まされない。国際アンチ・ドーピング機構(WADA)をはじめとする各統括団体は、AIを用いた高精度な異常検知システムを導入。従来の抜き打ち検査では検知しにくかった微小な生体変化やデータの歪みをリアルタイムで追跡しており、これが厳格な失格裁定と長期離脱処分へと直結している。