インターネット上の議論や園芸コミュニティで頻繁に交わされる疑問の一つに、「そもそもツツジとサツキは別種の植物なのか?」というものがあります。この問いに対する植物学的な正確な答えは、「サツキはツツジという巨大なグループの中の1つの種(サツキツツジ)」です。
生物学的な分類階層において、両者は共に「ツツジ科(Ericaceae)ツツジ属(Rhododendron)」に属しています。ツツジ属には世界中に1,000種以上の原種が存在し、日本国内だけでもヤマツツジ、レンゲツツジ、モチツツジ、キシツツジなど多数の自生種があります。このツツジ属の中で、日本の渓流沿いの岩場などに自生していた固有種「サツキツツジ(学名:Rhododendron indicum)」を原種として改良・発展させた園芸品種群を、園芸界では慣例として独立した呼称である「さつき」と呼んでいます。
つまり、「犬」という大きな枠組みの中に「柴犬」が含まれているのと同様に、「すべてのサツキは植物学上ツツジであるが、すべてのツツジがサツキであるわけではない」という包含関係が成り立ちます。日常会話や園芸市場で「つつじとさつき」と並列して対比されるのは、江戸時代から続く日本の園芸文化において、開花期や仕立て方(庭木か盆栽か)が明確に区別されて扱われてきた歴史的経緯によるものです。