2024年5月31日、小学館と日本テレビはそれぞれ社内特別調査委員会による調査報告書を公表しました。総ページ数にして200ページを超える両社の文書からは、実写ドラマ化の初期段階から生じていた致命的なコミュニケーションギャップと、作家側が提示した条件が制作現場へ正確に伝わっていなかった構造的欠陥が詳細に暴かれました。
セクシー田中さんの原作者として、芦原さんはドラマ化の許諾を出す際、小学館の担当編集者を通じて極めて明確な条件を提示していました。
- 条件1:原作に忠実に描くこと。特に主人公や周囲のキャラクター造形、作品の根幹にあるメッセージ性を改変しないこと。
- 条件2:連載中であり結末が未定であるため、ドラマ終盤(第9話・第10話)の展開やセリフは原作者自らがあらすじを用意し、場合によっては直接脚本を執筆すること。
しかし、日本テレビのドラマ化経緯を検証すると、制作プロデューサー陣と脚本家の間でこの重大な条件が「形式的な要望」程度に軽視され、制作過程で大幅な改変が繰り返される事態に陥りました。提出されるプロットや脚本に対し、芦原さんは幾度となく詳細な修正指示書を作成し、編集部を通じて修正を求めましたが、現場では納期やテレビ的な起伏を優先する判断が優先され、原作の意図とはかけ離れたストーリーが提示され続けました。
結果として、第8話までの大幅な手直しに加え、第9話と第10話は約束通り芦原さん自らが脚本を執筆せざるを得ない極限状態に追い込まれました。その後、脚本家によるSNSへの問題提起の投稿を契機に、インターネット上で原作ファンとドラマ制作側を巻き込む激しい論争が勃発することになります。