クローバー(シャムロック)の象徴性を正しく理解するためには、葉の枚数に応じた文脈の相違を把握しなければなりません。日常で目にする三つ葉から、めったにお目にかかれない五つ葉まで、それぞれに独自の神話的・宗教的バックグラウンドが存在します。
特に親しまれている四つ葉の各葉には、西洋の古い四行詩に由来する明確な定義が与えられています。英語圏における代表的な伝承では、次のように詠み継がれてきました。
「1枚目は名声(Fame / または信仰 Faith)、2枚目は富(Wealth / または希望 Hope)、3枚目は満ち足りた愛(Love)、そして4枚目は栄光ある健康(Health / または幸運 Luck)。これらが揃うことで真の幸福(Good Fortune)が完成する」
日本においては、キリスト教の徳目である「信仰(Faith)」「希望(Hope)」「愛(Love)」に、4枚目の「幸運(Luck)」が加わったものとして解釈されるのが一般的です。一方で、本来の標準形である「三つ葉」は、アイルランドの守護聖人パトリックがキリスト教の「三位一体説(父と子と聖霊)」を説く布教ツールとして用いたことから、神聖さと調和の象徴と位置づけられています。
注意を要するのが、四つ葉を上回る変異体である「五つ葉のクローバー」です。五つ葉には「経済的繁栄」「豊かな財運」という吉兆が与えられている半面、西洋の俗信では「悪愛」「分裂」「不幸・破滅」という極端に不吉な意味合いを同時に背負わされています。物事が度を越して過剰になると破綻を招くという、古代ギリシャ的な倫理観が投影された結果と言えます。