西野がここまでの肉体改造に身を投じた背景には、芸人人生における根深い葛藤が存在していました。2015年、結成わずか3年半で『キングオブコント』の頂点に立ったコロコロチキチキペッパーズですが、栄光の直後から2人を待ち受けていたのは残酷なまでの「コンビ間格差」でした。
相方のナダルがその類稀なる失礼キャラ、クズキャラで瞬く間にバラエティ番組の寵児となり、ピンでの露出を激増させていく一方、ネタ作り担当でありツッコミの西野は「ナダルのバーター」「名前も思い出してもらえないじゃない方芸人」というポジションに追いやられました。当時のインタビューや公式YouTubeチャンネル『よろチキチャンネル』でも、西野は当時の心情を赤裸々に吐露しています。
「劇場へ行っても、ファンが求めているのはナダルだけ。自分はネタを書いてコントの世界観を作っているのに、世間からはナダルのおまけとしか見られていなかった。悔しくて、情けなくて、自分の存在意義を見失いかけていた」
この焦燥感を打ち破る転機となったのが、2022年秋にスタートした本格的なボディメイク企画でした。最初はYouTubeのアクセス向上や短期的な変化を狙った側面もありましたが、バーベルを握り、重量が伸び、身体が変わっていくプロセスの中で、西野の精神構造に決定的な変化が起きました。バラエティのひな壇ではどれだけ努力してもナダルの爆発力に持っていかれるのに対し、「筋肉だけは投じた努力と時間に100%嘘をつかずに応えてくれる」という事実に、痛切な自己効力感を見出したのです。