フランス刺繍の多彩な技法のなかでも、文字を表現する際に骨組みとなるのが基本の3ステッチだ。表現したい線の太さやフォントの雰囲気に応じて、これらを適切に使い分けることが成功の近道となる。
細くクリアなラインを描くならバックステッチが第一選択だ。返し縫いの要領で進むため、図案の線を正確に追うことができる。特にアルファベットの筆記体や細身のフォントに向いている。
流れるような滑らかさと程よい太さを出したい場合は、アウトラインステッチが威力を発揮する。糸を常に進行方向の片側に倒しながら刺し進めることで、ロープのような美しい撚り目が生まれ、文字の輪郭が力強く浮かび上がる。
文字に面としてのボリューム感と高級感を与えたいならサテンステッチだ。隙間なく並行に糸を並べるこの技法は、イニシャルのワンポイントなどで抜群の存在感を放つ。下刺し(あらかじめ中にステッチを入れておくこと)を施すことで、ぷっくりとした美しい立体感が生まれる。