柱稽古の最中、善逸のもとに一羽の鎹鴉がもたらした一通の手紙。そこに記されていたのは、最愛の師匠・桑島慈悟郎が切腹して非業の死を遂げたという残酷な事実でした。
手紙を読んだ瞬間から、善逸の態度は一変します。それまでのコミカルで臆病な振る舞いは完全に消え失せ、鬼気迫る表情で黙々と単独の稽古に打ち込むようになります。岩柱・悲鳴嶼行冥の厳しい修行すら無言で完遂し、かつての泣き虫の面影は完全に払拭されました。善逸の心を支配していたのは、師を死に追いやった獪岳に対する激しい怒りと、自らの手で決着をつけなければならないという凄絶な覚悟でした。
無限城の戦いにおいて、善逸は鬼となった獪岳と対峙。獪岳が使えなかった壱ノ型を極限まで研鑽し、自らが編み出した完全オリジナルの奥義「雷の呼吸 漆ノ型 火雷神(ほのいかづちのかみ)」を一閃させて勝利を掴みます。
死の淵を彷徨う善逸の精神世界、三途の川の向こう岸に現れた桑島慈悟郎は、涙を流しながら叫びました。
「善逸、お前は儂の誇りじゃ」
厳しい修行の中で一度も褒められることのなかった善逸にとって、この一言はすべての苦難と哀しみを昇華させる救済の言葉となりました。師の自害という最悪の悲劇は、善逸という真の英雄を覚醒させる契機となったのです。