私たちは日常的にこの建物をポケットの中に忍ばせている。銅の冷たい感触とともに。だが、実物を目の前にしたとき、そのスケール感と浮遊感に圧倒されない者はいない。翼を広げた鳥のように左右へ伸びる翼廊、中央に鎮座する阿弥陀如来坐像。池の水を鏡として利用し、まるで宙に浮いているかのように設計された構造は、平安時代中期の建築技術の極致だ。
末法思想が日本列島を覆い尽くした永承7年(1052年)。「現世に希望はない」と絶望した人々にとって、この場所は文字通りの天国だった。木造建築が放つ特有の陰影と、池に反射する柔らかな陽光。細部まで計算し尽くされた視覚的演出は、現代のどのインスタレーションアートよりも計算高く、そして切実だ。