毎年、干潟の現場で取材を重ねると、レジャーシートの上で途方に暮れるファミリーやグループの姿を必ず目にします。SNSや質問サイトでも「潮干狩りの持ち物で本当に必要なものは何だったのか」という反省の声が毎年数多く投稿されています。現場で阿鼻叫喚を引き起こす最大の理由は、「街歩きの延長線上で干潟に足を踏み入れてしまう認識のズレ」にあります。
典型的な失敗の筆頭が「足元の選択ミス」です。雨の日の感覚で長靴を履いて干潟に入ると、柔らかい泥の吸着力によって足が抜けなくなり、踏ん張った瞬間に長靴だけが泥深くに埋没します。靴を脱いで裸足になれば、アサリやカキの鋭利な破片で足の裏をざっくり切る怪我につながります。海上保安庁の安全指導や日本ライフセービング協会の一次講習でも、干潟での裸足歩行は重大な受傷原因として強く警告されています。
さらに深刻なのが「アサリの全滅」です。泥まみれになりながら苦労して掘り出したアサリをバケツの真水(水道水)で洗って浸したり、炎天下の干潟や高温になった車内にそのまま放置したりすることで、帰宅時には異臭を放ち死滅してしまう tragedies が頻発しています。「せっかく掘ったのに食べるどころか全廃棄になった」という悲痛な声は、現場での温度管理と海水の持ち帰りに対する知識不足から生じているのです。