この名言が単なる一発屋のギャグで終わらず、長年にわたり語り継がれている理由は、料理の魅力を視覚と言語の両面で完璧に捉えていた点にあります。
当時のテレビ業界における食レポは、「おいしい!」「やわらかい!」「甘い!」といった画一的な味覚の感想が主流でした。しかし彦摩呂さんは、視聴者が画面越しに見ている映像に対し、「色とりどりの魚介類が所狭しと並ぶ美しさ」を宝石箱という誰もが思い浮かべられるアイテムに例えて言語化しました。
この成功を機に、彦摩呂さんは「味の宝石箱」をはじめとする独自の比喩表現を次々と開発。事前のリサーチを徹底し、料理人がどれほどの手間暇をかけてその一皿を完成させたかをリスペクトした上で言葉を紡ぐ姿勢が、業界内でも高く評価される決定打となったのです。