この悲劇は、車両の構造的欠陥を巡る法廷闘争へと発展しました。2015年、ポールの一人娘であるメドウ・ウォーカーは、「ポルシェ・カレラGTには適切な電子安定性制御システム(PSM)が搭載されておらず、衝突時にシートベルトが肋骨と骨盤を過度に拘束して脱出を阻む構造的欠陥があった」として、ポルシェ北米法人を相手取り不法死亡訴訟を提起しました。
ポルシェ側は当初、「車両の不適切な改造や不十分なメンテナンス、無謀な運転操作が事故の原因」と主張して責任を否定していましたが、2017年10月に両者の間で正式な和解が成立しました(和解金の具体的額は非公開)。また、メドウは運転していたロジャー・ロダスの遺産管理団体からも約1010万ドル(当時のレートで約11億円)の補償金を受け取ることで合意に達しています。
ポールの残した約2500万ドル(約27億円)の遺産は、生前に作成されていた遺言書に基づき、全額が娘メドウのための信託財産として保全されました。遺産を巡る親族間の泥沼の争いが懸念された時期もありましたが、ポールの父が遺言執行者として厳格に管理を行い、メドウの将来を守る形で決着を迎えています。