脱サラ後、第23回MANGAグランプリでの受賞などを経てデビューの足がかりを掴んだ原氏でしたが、連載への道は平坦ではありませんでした。ネームが通らず苦悩していた原氏の転機となったのが、世界的大ヒット作『SLAM DUNK』や『バガボンド』で知られる巨匠・井上雄彦氏のアシスタント入りです。
当時、『リアル』などを執筆していた井上氏の仕事場に数か月間参加した原氏は、背景作画などの技術だけでなく、一流の漫画家としての魂を間近で吸収しました。特に有名な逸話として、連載開始当初の『キングダム』のネームを見た井上氏から「主人公・信の目が死んでいる。目の輝きや描き方ひとつでキャラクターに魂を吹き込め」という決定的なアドバイスを受けたことが知られています。
この指導を受けて修正された信の強い眼差しは、作品全体の推進力となり、読者の心を一気に掴む要因となりました。現在でも原氏は井上氏を生涯の師と仰ぎ、深い敬意を表明し続けています。