桃の魅力を真に堪能するためには、白桃・黄桃という大まかな括りを超えて、それぞれの主力品種が持つストーリーと味覚特性を把握しておく必要があります。
王道を走る白桃の2大巨頭:「白鳳」と「あかつき」
日本の白桃シーンを支え続ける筆頭が「白鳳(はくほう)」です。酸味が極めて少なく、口に含んだ瞬間に解けるような果肉感は、まさに白桃の完成形と呼ぶにふさわしい実力を誇ります。果汁の多さにおいては右に出る品種がなく、7月中旬から下旬にかけて市場の主役に君臨します。
一方、現在日本で最も生産量が多い品種が「あかつき」です。白糖と白鳳を交配させて福島県で育成されたエリート品種であり、果肉に適度な締まりがありながら緻密で、甘みの乗りが非常に安定しています。日持ちにも優れており、全国の果実バイヤーから最も信頼される主力銘柄として流通しています。
生食革命を起こした黄桃の旗手:「黄金桃」と「きららのきわみ」
黄桃を生で食べる文化を切り拓いた最高峰が「黄金桃」です。果皮を袋掛けして丁寧に栽培することで、外見は美しいレモンイエローに仕上がり、袋を外して日光を当てるとピンクがかった幻想的な色合いになります。糖度は安定して13度〜15度を超え、マンゴーに似た芳醇な香気とコクのある酸味が舌の上で絶妙なシンフォニーを奏でます。
さらに近年、東北や山梨の産地で評価を上げているのが「きららのきわみ」や「滝の沢ゴールド」です。これらは大玉になりやすく、果肉が繊維質を感じさせないほどクリーミーであり、晩夏から秋風が吹く9月中旬まで極上の味覚を提供してくれます。