金魚の赤い体色は、フナの突然変異によってメラニン色素が失われたことが原因である。もともとフナは黒褐色の保護色を持ち、野生環境では目立たない体色が生存に有利だ。しかし遺伝子の変異で色素細胞の一部が欠如した個体は赤や橙、まだら模様になり、自然界では捕食者に狙われやすく、ほぼ生き残れない。ところが人間がその珍しい色彩を「美しい」と感じ、保護しながら累代繁殖させたことで、赤い個体が次第に固定化されていった。
金魚とフナの違いは、体色のほかにも体型や尾びれの形状に顕著に現れる。野生のフナは流線型の体と単一の尾びれを持ち、素早く泳ぐことに適している。対して琉金やらんちゅう、水泡眼といった金魚の品種は、丸みを帯びた体型や大きく分かれた尾びれ、退化した背びれなど、観賞用に特化した特徴を持つ。これらはすべて人間による人為選択の産物であり、金魚は「人類が最初に作り出した観賞魚」とも呼ばれる所以だ。