ネット上の掲示板やSNSでは、オダギリジョーの学歴について「カリフォルニア州立大学を卒業したエリート」「英語はペラペラでネイティブ同然」といった過剰な脚色や、逆に「適応できずに早期中退したのでは」という偏った言説が散見されます。実態を検証すると、より現実的で泥臭い事実が見えてきます。
まず在籍期間についてですが、彼は4年間の課程を満了して学士号を取得したわけではなく、約2年間の在籍を経て帰国しています。これを単なるドロップアウトと解釈するのは早計です。アメリカの大学制度は単位制であり、舞台芸術の実技講義を集中して履修したオダギリジョーは、「演じる側の内面を深く理解した上で、日本で本格的なプロの表現者として勝負したい」という明確なヴィジョンを持って帰国を決意しました。目的を見出した段階で躊躇なく次のステージへ進む姿勢は、高知大学を辞退した際の一貫した行動哲学と重なります。
また、英語力についても興味深い側面があります。語学留学を目的として渡米したわけではないため、当初は英語でのディスカッションや台詞の暗記に相当な苦労を重ねたと証言しています。しかし、毎日のように台本を読み込み、アメリカ人学生と舞台を作り上げた経験は、彼に実践的なコミュニケーション能力をもたらしました。後年、クリストファー・ドイル監督作品や国際共同製作の映画祭の現場で見せた堂々としたスピーチは、付け焼き刃の英会話ではなく、「身体で覚えた生きた英語」の賜物です。