上野オークラ劇場の現在の姿を一言で表すなら、「伝統と清潔感が共存する孤高の文化拠点」です。台東区上野2丁目の繁華街にそびえる上野オークラビルの2階に位置し、同フロアには姉妹館である上野特選劇場も併設されています。かつての木造建築や古びた昭和の小屋を想像して訪れると、2010年に竣工した近代的なビル設計と整然としたロビーに良い意味で意表を突かれます。
運営母体である大蔵映画は、新東宝の社長を務めた大蔵貢氏が設立した歴史ある映画会社です。ピンク映画業界における最大手ブランドであるOP PICTURESを擁し、長年にわたり独自の成人映画を供給し続けてきました。大手シネコンでは決して味わえない、どこか懐かしく淫靡でありながらも人間味にあふれた作品群が、今なおこの劇場で連日スクリーンに投影されています。
劇場の公式発表資料や現地プログラムによると、館内はデジタルシネマプロジェクターを導入しつつも、作品によっては35mmフィルムの上映設備を維持しており、映画本来の粒状感を愛するシネフィルたちからも高く評価されています。昭和レトロ映画館としてのノスタルジーをただ消費させるのではなく、確かな上映品質を維持し続けている点こそが、多くのファンを惹きつける最大の要因です。