藤子・F・不二雄先生の作品群の根底には、常に「SF(すこし・ふしぎ)」という哲学が流れています。日常のすぐ隣に潜む非日常を描く上で、「次元」という概念は最も効果的に活用されたテーマの1つでした。
作中には四次元ポケット以外にも、「四次元くずかご」「かげがり」「立体コピー紙」「入りこみ鏡」など、次元の壁を軽々と越えるひみつ道具が数多く登場します。子ども向け漫画でありながら、高次元空間の性質や影・鏡の世界という2次元的アプローチを巧みにストーリーへ落とし込む手腕は、今なお色褪せることがありません。
現実世界がメタバースやAR(拡張現実)、空間コンピューティングへと進化を遂げる現代において、2次元(画面)と3次元(現実)、そしてデジタル上の高次元空間の境界線はますます曖昧になっています。私たちが「二次元ポケット」という言葉にどこか惹きつけられてしまうのは、幼い頃にドラえもんから教わった「次元を超えるワクワク感」が、今まさに現実のテクノロジーとして具現化されつつあるからなのかもしれません。