しそと大葉の違いとは?同じ植物で呼び名が変わる真相とプロの使い分け

しそと大葉の違いとは?同じ植物で呼び名が変わる真相とプロの使い分け

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では、なぜわざわざ「大葉」という独特な呼び名が考案されたのか。その真相は、1960年代(昭和30年代後半〜40年代)の愛知県豊橋市における青果流通の歴史に刻まれている。

当時、日本料理店や料亭向けの高級あしらいとして、シソは主に小さな双葉である「芽じそ(青芽・紫芽)」の状態で取引されていた。刺身の皿を美しく彩る添え物として、料亭の料理人たちには芽じそが欠かせない存在だったのだ。そのような中、現在のJA愛知みなみ管内や豊橋市の温室園芸農家たちが、成長した青じその本葉を10枚単位で束ね、新たな食材として出荷する取り組みを開始した。

出荷の際、市場の伝票や箱に単に「しそ」と書いてしまうと、当時主流だった「芽じそ」と混同されて現場が混乱する。そこで、生産者グループが「芽」に対して「葉」、しかも大きく成長した葉であることを直感的に伝えるため、木箱に「大葉」と墨書して大阪の青果市場へ出荷したのが直接の起源である。

関西の市場関係者や料理人の間で「豊橋の大葉は香りが高く使い勝手がいい」と評判を呼び、大葉という呼称は流通符牒(業界用語)として爆発的に定着した。その後、1970年代から1980年代にかけて近代型スーパーマーケットが全国に急増すると、パック詰めされた青じその葉は「大葉」の名称のまま野菜売り場へ平積みされるようになり、一般消費者の間にも定着していった。

しそと大葉の呼び方に地域差はあるのか?

現在でも地域によって呼び方のグラデーションが存在する。青果市場の取引データや食文化調査によると、発祥の地に近い関西・中京圏では家庭でも「大葉」と呼ぶ比率が約7割を超えるのに対し、東日本や東北地方では「しそ」「青じそ」と呼ぶ人が過半数を占めるケースが散見される。ただし、スーパーの店頭POPや生鮮パックの表記においては、全国的に「大葉」で統一される傾向が年々強まっている。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。