葉隠康比呂というキャラクターを語る上で避けて通れないのが、ファンコミュニティにおける「クズ疑惑」です。好感度の高いキャラクターが多い本作において、なぜ彼はこれほど辛辣な言葉を投げかけられることになったのでしょうか。その原因は主に3つの行動に集約されます。
最大の要因は、物語中盤の第4章で起きた大神さくら殺害未遂疑惑です。大神から呼び出された葉隠は、極度の恐怖と猜疑心に駆られ、持参したガラスの飴玉瓶で彼女の頭部を強打。さらに自分が疑われるのを恐れ、密室工作を行って現場から逃走しました。この「パニック時の自己保身の醜さ」と、仲間を信じきれなかった弱さは、プレイヤーに強い衝撃と失望を与えました。
第2の要因は、呆れるほど生々しい金銭トラブルと借金理由です。葉隠は過去に「霊感商法」まがいのインチキ占いや、法外な価格の水晶玉詐欺、さらに怪しげな儲け話に手を出して多重債務に陥り、総額数億円規模の借金を抱えてヤクザに追われていました。自由行動時間の会話でも、主人公である苗木誠に対して借金の連帯保証人を頼み込もうとしたり、苗木の腎臓を売却して金を作ろうと画策するなど、高校生とは思えない倫理観の欠如を露呈させています。
そして第3の要因が、実年齢20歳という設定とのギャップです。3回の留年を繰り返して成人しているにもかかわらず、精神的な成熟度は最年少の女子生徒たちよりも低く、都合が悪くなると他人に泣きつく他力本願な姿勢が目立ちました。しかし皮肉にも、この徹底した「等身大の弱さ」「俗物性」こそが、完全無欠のスーパーヒーローばかりではない人間の生々しさを物語に与えていたことも事実です。