害のない写真を見ただけであるにもかかわらず、皮膚がムズムズと痒くなり鳥肌が立つのはなぜか。進化医学の観点は、これを人類が太古から生き延びるために獲得した高度な回避メカニズムと捉える。
かつて人類の脅威であった天然痘や麻疹、あるいは皮膚に潜り込む有毒な寄生虫感染症は、いずれも皮膚表面に過密な小孔や発疹を形成した。こうした危険な徴候をい早く察知し、強い不快感とともに反射的な忌避行動を取る個体ほど生き残る確率が高かったのは言うまでもない。現代の私たちが画面越しの刺激に対して示す鳥肌や自律神経の乱れは、遺伝子に刻まれた先祖代々の「脳の防御反応」が過剰に誤作動を起こしている結果なのだ。