中つ国は完全なファンタジー世界と思われがちですが、トールキン自身の手紙(書簡集)によると、明確に「この世界は私たちの地球そのものであり、指輪物語はその失われた過去の神話である」と述べられています。
地理的な縮尺や緯度の設定も、実在のヨーロッパを強く意識して構築されています。
・ホビット庄:イングランド・オックスフォード付近の緯度(北緯52度付近)に相当し、豊かな田園風景や気候が一致します。
・リヴェンデール:スイスのアルプス山脈(ラウターブルンネン渓谷)がモデルとされ、トールキンが青年期に旅したスイスの景観がそのまま反映されています。
・ミナス・ティリス / ゴンドール:地中海沿岸のイタリア(フィレンツェやローマ)と同等の緯度(北緯40〜43度付近)に位置し、温暖で乾燥した気候設定となっています。
・モルドール:バルカン半島から中東・黒海周辺の過酷な火山地帯や荒野を想起させる緯度・風土に配置されています。
トールキンは言語学者であると同時に卓越した地理・植物・気候への造詣を持っており、作中の日照時間、星の動き、植生の推移に至るまで、現実の地球科学と矛盾しないよう極限まで緻密に計算して地図を描き上げました。