ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「コードの銅線が見えても、絶縁テープを何重にもぐるぐる巻きにすれば安全に直せる」という投稿が散見されます。しかし、これは危険な誤解です。
家庭用電化製品の電源コード(キャブタイヤコードなど)は、内部で複数の細い銅線が束になっています。コードの外側が破れている場合、内部の銅線自体も屈曲疲労で断線しかかっているケースが少なくありません。断線しかけて芯線の本数が減った部位は、電気抵抗が急増してヒーターのように異常発熱します。
その上からいくら高品質な電気絶縁テープを巻いても、内側からの異常加熱を防ぐことはできません。結果としてテープが熱で炭化し、発火に至ります。電気絶縁テープはあくまで「外部との接触を遮断する絶縁被覆の復元」を行うものであり、折れ曲がった金属芯線の物理的修理を行う道具ではありません。内部の芯線にダメージが及んでいる場合は、コード全体の交換か器具の買い替えが唯一の安全策です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
配線の補修やテープの選定において、人間工学および安全心理学の観点から見ると「これくらいなら大丈夫だろう」という正常性バイアスが事故の主原因となります。事故を未然に防ぐため、自身の作業がどちらに該当するかを冷静に見極める必要があります。
【電気絶縁テープでのセルフ処置を推奨できるケース】
- コード内部の銅線束に一切の断線・折れがなく、外側のビニール被覆に軽微な擦れがある程度の一次保護
- 乾電池やUSB給電(5V程度)など、人体や火災への影響が極めて小さい超低電圧ガジェットの配線束ね
- JIS C 2336適合テープを使用し、定期的に巻き直しや状態確認ができる目に見える範囲の配線
【セルフ補修を絶対に避け、機器交換・有資格者へ依頼すべきケース】
- コードを動かすと電源が入ったり切れたりする(内部断線・スパークの確実な兆候)
- 被覆の上から触れてみて、異常に熱を持っている箇所がある
- AC100Vの電源プラグ根元付近や、壁の中・天井裏に埋設されるVVFケーブルの接続(電気工事士法により無資格者の工事は法令違反)
- 手元に一般的な文具用ビニールテープやセロハンテープ、ガムテープしかない環境