家庭で最も利用頻度が高いのが冷凍のブロックエビやバラ凍結(IQF)のむきえびです。しかし、多くの人が「流水に直接さらして解凍する」という致命的な失敗を犯しています。浸透圧の差により、海老の細胞膜が破れて旨味成分であるグリシンやグルタミン酸が水へ溶け出し、仕上がりがスポンジのようにスカスカになってしまいます。
正しい冷凍エビの解凍と下処理手順の鉄則は、海水とほぼ同等の塩分濃度(水500mlに対して塩大さじ1=約3%)の塩水を作ることです。そこに凍った海老を直接浸し、常温で15〜20分かけてゆっくり解凍します。この方法をとると、浸透圧のバランスが保たれ、旨味ドリップの流出を極限まで防ぎながら身を引き締めることができます。
さらに安価なむきえびの下処理で重曹を活用する技術は、科学的に非常に理にかなったエビをプリプリにする裏技です。海老の筋肉タンパク質は弱アルカリ性(pH8.0前後)に傾くと、筋原線維の網目構造が広がり、水分を抱え込む保水能力が劇的に高まります。
水200mlに対して重曹小さじ1/2、塩小さじ1/2を溶かした重曹水に、解凍したむきえびを15分間浸します。その後、流水で重曹の成分をしっかりと洗い流してから調理に使います。このひと手間を加えるだけで、加熱しても水分が逃げ出さず、噛んだ瞬間に弾けるような中華料理店並みのジューシーな食感が生まれます。