SNSやネット掲示板では「初犯で事故を起こしていなければ、数十万円の罰金を払って終わり」「職場にバレずに済んだ」といった無責任な言説が散見されます。しかし、現代の司法および企業コンプライアンスの実務において、そうした甘い結末は皆無です。
まず、初犯であっても前科(有罪判決の履歴)が付きます。略式起訴による罰金刑であっても立派な刑事罰であり、国家資格の剥奪や更新停止、海外渡航時のビザ取得制限など、生涯にわたる法的な不利益を被ります。万が一、物損事故や人身事故を伴っていた場合は、初犯であっても危険運転致死傷罪や過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪が適用され、保釈すら認められずにそのまま刑務所へ収監される実刑判決の確率が跳ね上がります。
さらに致命的なのが会社からの処分です。現在、上場企業や公務員組織はもちろんのこと、中小企業においても就業規則の懲戒規定に「飲酒運転を行った者は原則として懲戒解雇(諭旨解雇)」と明記されているケースが大多数を占めます。裁判例においても、飲酒運転による懲戒解雇は企業の社会的信用を失墜させる重大な背信行為として、解雇無効の訴えが退けられる傾向が完全に定着しています。
退職金の全額不支給、住宅ローンの返済困難、家族の離散、業界内での再就職不能など、飲酒運転の代償は「罰金数十万円」では到底収まりません。数百万円から数千万円規模の生涯賃金を一瞬で喪失するリスクと直結しています。