本作が単なる青春サクセスストーリーに留まらず、40代〜60代の大人世代をも巻き込む社会現象となった背景には、小泉今日子と薬師丸ひろ子という「本物の80年代トップアイドル」の直接対決がありました。
劇中で二人が演じた春子と鈴鹿ひろ美の関係性は、当時の芸能界における「歌唱力」と「スター性」のねじれを象徴するメタ構造を持っています。劇中歌「潮騒のメモリー」(作詞:宮藤官九郎、作曲:大友良英・Sachiko M)は、小泉今日子名義のシングルとしてもリリースされ、オリコンチャート上位を独占。劇中で音痴設定だった鈴鹿ひろ美が、最終盤の北三陸・復興チャリティーリサイタルで見せた「本物の歌声」による魂の熱唱は、テレビドラマ史に残る奇跡の名シーンとして語り継がれています。
当時の特番インタビューや関係者の証言によると、小泉今日子はこのキャスティングについて「宮藤さんの本だからこそ、自分の背負ってきたアイドルという歴史を笑いと切なさで肯定できた」と語っています。虚構と現実をシームレスに繋ぐ二人の名演は、本作の芸術的価値を決定づける要因となりました。