高橋一生と今田美桜の過去の共演作を振り返る上で、絶対に外せない作品が2017年10月期に放送されたフジテレビ系月9ドラマ『民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜』です。主演の篠原涼子を取り巻く市政の混乱を描いた本作で、2人は物語の裏側を支える極めて重要な役どころを演じました。
高橋一生が演じたのは、代々続く政治家一家のサラブレッドで市政のプリンスと呼ばれる市議会議員・藤堂誠。表向きは爽やかでクリーンな政治家でありながら、裏では家族のプレッシャーや敷かれたレールに息を詰まらせ、秘密の高級ホテルの一室に逃避する二面性を持つ男でした。その隠れ家に呼ばれるデリヘル嬢(コールガール)・莉子を演じたのが、当時まだ連続ドラマのレギュラー出演が珍しかった今田美桜です。
視聴者の間で今も語り草となっているのが、物語のクライマックスに位置する第8話のキスシーンです。孤独を抱える誠に対して、莉子が単なる仕事相手を超えた情愛と哀愁を向ける場面であり、張り詰めた空気の中で交わされた口づけは、月9史上でも指折りの切ない名シーンとしてSNSを席巻しました。「あのキスシーンは何話で見られるのか」と現在も再放送や配信サービスで探されるのは、この第8話の演技があまりに真に迫っていたためです。
当時の現場取材で、今田美桜は高橋一生との共演について「高橋さんのお芝居を間近で見ていると、吸収することが本当に多いです」と率直な畏敬の念を明かしています。感情の乗せ方や間の取り方など、トップランナーである高橋一生の立ち居振る舞いをスポンジのように吸収していた姿が、関係者によって証言されています。