一般的に「絵本」と「エリック」の組み合わせで真っ先に想起されるのは、名作『はらぺこあおむし』で知られる巨匠エリック・カールだろう。鮮やかなコラージュ技法と温もり溢れる世界観で児童出版業界に不滅の金字塔を打ち立てた彼の作品は、時代を超えて子どもたちの情操を育んできた。
対照的に、本作の劇中絵本が突きつけるのは光に対する圧倒的な「影」だ。子どもが紙の上に落とす色彩や筆致は、時に大人の言葉を置き去りにし、家庭内の歪みやSOSの叫びをどこまでも無邪気に可視化してしまう。その二面性こそが観客の恐怖を煽る。