東京大学での研究生活から国立情報学研究所でのプロジェクトに至るまで、研究者としてのキャリアは極めて重厚だ。ノーム・チョムスキーの理論言語学に触発された初期の研究から、コンピュータで言語を処理する計算言語学への展開。そこには、純粋な理論的探求と実践的な応用との間で葛藤し続けた知のドラマが存在する。
関係者によれば、研究室での膨大なデータ解析と格闘する日々の中で、「人間はいかにして限られた記号から無限の意味を生成するのか」という問いが絶えず頭を離れなかったという。アカデミズムの最前線で味わった驚きや壁の体験こそが、のちに創作活動へと向かう最大の原動力となった。この未公開の思考プロセスこそが、フィクションと学術の狭間で独自の作品群を生み出す源泉にほかならない。