裕次郎さんの生涯を語る上で欠かせないのが、芥川賞作家であり政治家としても活躍した実兄・石原慎太郎さんと、元トップ女優(北原三枝)としてキャリアを捨てて裕次郎さんを支え抜いた妻・石原まき子さんの存在です。
慎太郎さんにとって、弟・裕次郎さんは自身の小説『太陽の季節』の映画化を機に芸能界へ送り出した張本人であり、誰よりも誇らしく、誰よりも愛おしい肉親でした。病床で病状が悪化していく弟を見守る慎太郎さんの苦悩は深く、後に著書『弟』でもその葛藤と深い兄弟愛が生々しく描かれています。がんで死期が迫っている現実を受け止めつつ、最後まで弟の前では希望を捨てない兄としての姿を貫きました。
一方、妻のまき子さんは、裕次郎さんの女性問題や放蕩、莫大な借金を抱えた石原プロの苦境、そして繰り返される大病の看病を一手に引き受けてきました。真の病名ががんだと知らされていたまき子さんは、激痛に耐える夫の背中を何時間もさすり続け、「大丈夫、絶対に治るから」と笑顔を作り続けました。真実を隠し通すという過酷な運命を背負いながら、最期の瞬間まで完璧なパートナーであり続けたのです。