ツツガムシ病は、オリエンティア・ツツガムシという細菌(リケッチア)を保有するダニの一種、ツツガムシの幼虫に刺されることで感染する疾患だ。病原体はダニの唾液を介してヒトの体内に侵入し、血管内皮細胞などで増殖する。感染症法上は4類感染症に指定されており、診断した医師は保健所への届け出が義務付けられている。つまり、公衆衛生上も軽視できない感染症という位置づけだ。
重要なのは、感染経路が「ヒトからヒト」ではないという点である。あくまで病原体を持つツツガムシ幼虫に刺されることが唯一の感染経路であり、家庭内や職場で患者からうつることはない。この事実を知っているだけでも、むやみに恐れる必要はないことが分かる。一方で、ダニの生息域が従来の山林や田畑だけでなく、河川敷や公園、住宅地の草むらにも広がっているとの報告が各地の衛生研究所から出ている。