ネット検索で「青山学院記念館」と入力すると、関連ワードに「閉館」「解体」「建て替え」といった不穏な単語が並びます。多くのファンや卒業生が動揺したこの噂ですが、取材を進めると2つの構造的要因が重なり合って生じた誤解であることが判明しました。
第1の決定的な要因は、男子プロバスケットボールBリーグの「ホームアリーナ移転」問題です。長年この場所を本拠地として熱戦を繰り広げてきたサンロッカーズ渋谷ですが、2026年秋に開幕する最上位カテゴリー「Bプレミア」への参入審査において、アリーナ基準が極めて大きな壁となりました。Bプレミアの審査基準には「5,000人規模の収容人数」「VIPルームやホスピタリティラウンジの常設」「試合日程の優先確保」などが厳格に定められています。
大学施設である青山学院記念館は、最大収容人数が公称約4,000席(設営時実質約3,500人前後)であり、VIPラウンジ等の商業設備を持たないため、新基準を充足することが物理的に不可能でした。その結果、チームが他会場へのアリーナ移転や新アリーナ計画の推進を決断し、メディアで「青学ラストゲーム」「青学からの拠点移転」と大々的に報じられたことで、スポーツファンや一般読者の間で「記念館そのものが閉館してしまう」という誤認が急速に拡散したのです。
第2の要因は、1964年竣工という築年数に伴う老朽化です。耐震改修工事は施されているものの、建物はすでに築60年を超えています。折しも青山学院は創立150周年の節目を迎え、青山キャンパス内の大規模な再整備を順次進行させてきました。「歴史ある旧体育館もいよいよ取り壊されるのではないか」という利用者の憶測と、クラブチームの撤退劇が結びついたことが、解体説を加速させた真相でした。