会場を訪れた鑑賞者をまず圧倒するのが、本展のハイライトである村上隆版『洛中洛外図』です。全長12メートルを超える巨大スクリーンに展開される京都の街並みは、岩佐又兵衛をはじめとする近世初期風俗画の構図を忠実に踏襲しつつ、独自のキャラクターや現代的な文脈が隅々まで描き込まれています。
展示空間は、江戸時代の絵師・尾形光琳の代表作を現代へとアップデートした『風神雷神図』や、四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)に見立てた新作、さらには六本木ヒルズなどでおなじみのフラワーモチーフが京都仕様に変容した立体造形など、息をのむ作品で満たされています。自著や制作手記でも語られている通り、村上氏が「日本の古典絵画のDNAを自らの肉体に取り込み、再構築する」という執念にも似た情熱が、圧倒的な情報量と色彩の奔流となって鑑賞者の五感を揺さぶります。