三大悪女の中で最も知名度が高く、数々の作品のモチーフとなってきたのが張禧嬪(チャン・ヒビン)だ。第19代王・粛宗の愛をめぐり、仁顕王后と熾烈な争いを繰り広げた。宮女から王妃の座へと上り詰め、息子が後の景宗となるなど、その出世劇はまさに波乱万丈であった。
しかし、彼女の運命は粛宗の気まぐれな政治手法と、西人派・南人派という党派闘争の道具として利用された。名作『張禧嬪-チャン・ヒビン』などで描かれた愛憎の惨劇は、政治の波に呑まれた女性の孤立無援の戦いでもあった。王妃から降格され、最終的に賜薬によって命を絶たれた彼女の悲劇は、宮廷権力の凄惨さを象徴している。