青蛙がカオナシの最初の犠牲者となった理由は、ひとえに彼の「抑えきれない金銭欲」にありました。夜更けの静まり返った大浴場で、千尋が床に落とした砂金の粒を這いつくばって拾い集めていた青蛙の前に、突如としてカオナシが現れます。
カオナシの手のひらから次々と湧き出る大量の金塊に目を奪われ、「それをわしに寄越しな!」と無防備に飛びついた瞬間、青蛙は巨大な口で一瞬にして飲み込まれてしまいます。この事件を境に、言葉を持たなかったカオナシは青蛙の「声と欲深さ」を取り込み、青蛙そっくりの声色で周囲の従業員たちに金をばら撒き始めます。
カオナシの声が変わったのは、飲み込んだ相手の自我や発声器官を乗っ取ったためです。青蛙の強欲さを吸収したことで、カオナシは湯屋を欲望の坩堝へと巻き込む巨大な怪物へと肥大化していきました。