事件が発生したのは2006年9月28日午後6時20分頃のことでした。兵庫県たつの市新宮町新宮の閑静な住宅街で、学習塾から自転車で帰宅途中だった小学4年生の女児(当時9歳)が、待ち伏せしていた何者かに胸や腹部など数箇所を鋭利な刃物で刺され、全治数ヶ月の重傷を負いました。
現場の場所はJR姫新線播磨新宮駅から南西に約600メートルほど離れた市道。日暮れ時は人通りが激減し、田畑と民家が混在する薄暗い路地でした。被害女児は刺されながらも自宅へと逃げ帰り、家族の通報によって一命を取り留めました。しかし、現場には犯人の遺留物がほとんど残されておらず、目撃された不審人物の足取りも途中で途絶えてしまいます。
兵庫県警はたつの警察署に捜査本部を設置し、延べ数万人規模の捜査員を投入して周辺の聞き込みや過去の不審者情報の洗い出しを行いました。しかし決定打に欠け、事件は迷宮入りの様相を呈したまま歳月だけが流れていきました。長年地域を覆っていた「犯人が今もどこかに潜んでいる」という恐怖は、住民の心に拭い去れない影を落とし続けたのです。