本番で激しい動悸や声の震えが生じるのは、脳の扁桃体が「公の場での失敗や他者からの否定」を生命の危機と同等に認識することが発端です。扁桃体からの警報を受けると、視床下部を通じて交感神経系が一気に優位になり、アドレナリンやノルアドレナリンが血中に大量放出されます。これがド緊張の原因である自律神経の急激なシフトです。
血流が心臓や主要な大筋肉群へと偏向するため、指先などの末梢血管は収縮して冷たくなり、微細なコントロールを失って「手足の震え」が生じます。さらに、脳の認知中枢である前頭前野への血流が一時的に低下することで、思考や記憶の想起が阻害され、いわゆる頭が真っ白になるド緊張の対処不能状態へ陥るわけです。決して本人のメンタルが脆弱だからではなく、原始的な防衛本能が過剰に作動しているに過ぎません。