時計の針が23時を回る頃、店内の空気感は昼間とは一変する。静かなジャズのトーンが心地よく響く空間で、客層のグラデーションがダイナミックに変化していくのだ。
隅のボックス席では、交代制のシフト勤務を終えた看護師グループが静かに疲労を癒やす。中央のテーブルでは、締め切りに追われるフリーランスのクリエイターがノートPCのキーボードを軽快に叩く。また別の席では、久しぶりに再会した旧友たちが昔話に花を咲かせている。家庭でもなく、職場・学校でもない。「サードプレイス(第3の居場所)」としての役割を、この店舗は完璧に果たしている。
都会の過剰にスタイリッシュなカフェのような息苦しさはない。適度な喧騒とプライベート感が保たれたテーブル配置が、訪れる人々に不思議な安心感を与えるのだ。