昭和から平成にかけて、日本の大衆文化は裏社会の動向に少なからぬ関心を寄せてきた。とりわけ東映に代表される実録ヤクザ映画のブームは、暴力団の抗争や人間模様をドラマチックに描き出し、社会の関心を惹きつけた歴史がある。稲川会をモデルにした作品や、その系譜に連なる人物像は、映画のスクリーンを通じて一種のアンチヒーロー像として消費されてきた。
だが、現代の報道ジャーナリズムが向ける視線は、そうしたロマンティシズムを完全に削ぎ落としている。過剰な美化を排除し、彼らが社会に与える不法な影響や被害の実態を克明に記録することが求められる時代となった。フィクションの描写と過酷な現実との間には、あまりにも大きな溝が存在している。