2010年代半ばの日本のインディーズおよびメジャーロックシーンは、複雑なコード進行や疾走感あふれる高速四つ打ちサウンドがトレンドの絶頂にあった。その渦中において、フレデリックが提示した『オドループ』は異彩を放っていた。テンポをあえて抑えめに設定し、ワンリフと独特のグルーヴで押し切る展開は、当時のロックキッズに強い衝撃を与えた。
ミニマリズム的な美学に基づいた楽曲構造は、ロックファンだけでなくダンスミュージックを好む層にも刺さった。装飾を削ぎ落とした歌詞だからこそ、バンドの持つ独特のニュアンスやボーカル三原健司のどこかクールで艶のある声質が際立つ。この引き算の美学こそが、流行の移り変わりが早い音楽業界において10年以上風化しなかった最大の勝因である。