「これほど人気があるなら、全国発売すればもっと売れるのでは?」という疑問は当然湧いてきます。しかし、カルビーが長年にわたり関西・西日本中心の販売にこだわっているのには、明確な戦略と味覚への信念が存在します。
最大の理由は、「日本の東西における出汁(だし)・醤油文化の明確な違い」にあります。関東圏では古くから濃口醤油とみりんをベースにした甘辛くキレのある味付けが好まれるのに対し、関西圏では薄口醤油と昆布・かつおの重層的な旨味を引き出す「だし文化」が根付いています。カルビーは全国一律の味を提供するのではなく、その土地の食文化に最もマッチする味を現地で届ける「地域密着フレーバー戦略」を徹底しています。
また、地域限定であること自体が生み出す希少価値(ブランド価値)も見逃せません。「関西に行ったら必ず買うお土産」としてのポジションを確立することで、単なる日常のお菓子以上のプレミアム感を維持しています。全国どこでも買える状態にしないことが、結果として30年近く愛され続けるブランドの鮮度を保つ秘訣となっています。