どれほど焼き方にこだわっても、選んだイモ自体の質が悪ければ至高の味には届かない。地元生産者が口を揃える良質な鳴門金時の特徴は、ずんぐりとした紡錘形(ラグビーボール型)で、皮の紅色が鮮やかかつ均一であることだ。表面の凹凸(ヒゲ根の跡)が浅く、持ったときにずっしりとした重みを感じる個体は、砂地で十分な栄養を蓄えた証拠である。
購入後の扱いにも注意したい。サツマイモは寒さに極端に弱く、冷蔵庫に入れると低温障害を起こして細胞が破壊され、苦味や腐敗の原因となる。新聞紙で一本ずつ包み、風通しの良い13℃〜15℃前後の冷暗所で常温保存するのが鉄則だ。収穫直後よりも、適切に寝かせることで余分な水分が抜け、デンプンの糖化が進んでさらに甘みが増していく。