美術ファンの間で「名古屋を訪れたら絶対に立ち寄るべき場所」として真っ先に名が挙がるヤマザキマザック美術館。その最大の魅力は、美術館の母体であるヤマザキマザックの創業家が情熱と審美眼をもって蒐集した、極めて体系的で質の高いプライベートコレクションにあります。
単に著名な作家の作品をランダムに集めた展示とは一線を画し、18世紀初頭から20世紀半ばまでのフランス美術史の潮流を、絵画と工芸の両輪で完璧に追体験できる構成です。さらに、展示室は単なる無機質なホワイトキューブではありません。絵画が描かれた当時の貴族の館やサロンを思わせる壁布、重厚なモールディング、柔らかな間接照明が採用されており、作品が最も美しく輝く文脈の中で鑑賞できます。
作品と鑑賞者を隔てる無粋な仕切りロープを極力排除し、至近距離で筆致やガラスの質感を感じ取れる展示設計も、多くのリピーターを生み出す大きな要因となっています。