スプーンを入れた瞬間にすっと吸い込まれ、口に運ぶとだしの香りを残して溶けていく――。栗原はるみさんが提案する茶碗蒸しの最大の特徴は、一般的なレシピよりも水分量がやや多めに設計された「卵1:だし汁3」の黄金比率にあります。
標準的な茶碗蒸しでは卵1個(約50ml)に対してだし汁120〜130ml前後で作られるケースが多い中、栗原レシピでは卵1個に対してだし汁150ml(卵2個ならだし300ml)を合わせます。このギリギリまで水分を抱え込ませる設計こそが、まるで上質なプリンのように滑らかで、みずみずしい口どけを生む決定的な理由です。
味付けの基本は、丁寧に引いたかつおと昆布の合わせだしに、淡口しょうゆ、みりん、塩をほんの少し加えるだけ。卵の風味を殺さず、だしの旨味を引き立てる繊細なバランスが計算し尽くされています。