二人の魂の結びつきが最も劇的な形で日本中に示されたのが、2018年7月8日に生放送された『笑点 追悼特番(桂歌丸師匠 ありがとうスペシャル)』でした。
歌丸の遺影が飾られたスタジオで、司会の春風亭昇太から振られた六代目円楽は、溢れ出る涙を拭うこともせず、声を震わせながら次のように叫びました。
「最後に言わせてください。……ジジイ! 早すぎるんだよ!」
この一言は、SNS上でも「これ以上の弔辞はない」「涙が止まらない」と爆発的な反響を呼び、瞬く間に列島を駆け巡りました。敬語でもお悔やみの定型句でもなく、番組内で40年間にわたり呼び続けた「ジジイ」という罵倒の言葉。しかし、その声には師匠を失った子どものような悲痛な慟哭が宿っていました。
さらに、横浜市内で行われた歌丸の告別式における円楽から歌丸への弔辞でも、円楽は二人の歴史をこう総括しました。「私の悪口を一番面白く受け止めてくれたのはあなたでした。私の落語の育ての親は五代目圓楽ですが、テレビ芸、そして人間としての器の大きさを教えてくれたのは歌丸師匠、あなたでした」。
この告白に象徴されるように、二人の関係は単なる番組共演者の枠を遥かに超越していました。大喜利のキャラクターとして「悪役(ヒール)」を演じ切る孤独を知る円楽にとって、その悪意をすべて極上の笑いに昇華して受け止めてくれる歌丸は、唯一無二の防波堤であり、絶対的な理解者だったのです。