祭主という役職の根本的な役割は、一言で表せば「天皇陛下のお名代(みよばし・代理)」として神宮の神事を主宰することにあります。皇室の祖先神である天照大御神(内宮)と、衣食住・産業の守り神である豊受大御神(外宮)に対し、国家の平和と国民の安寧を祈念する立場です。
神宮では年間約1,500回もの祭りが行われますが、その中でも祭主が直々にご奉仕される最も重要な祭祀が、毎年10月に斎行される「神嘗祭(かんなめさい)」です。その年に収穫された初穂を神前に捧げて恵みに感謝する儀式であり、神宮では「お正月」よりも重要視される最重儀とされています。
神嘗祭における祭主の奉仕は過酷を極めます。清子様は伝統的な装束「小袿(こうちき)」や十二単に類する重厚な衣装を身にまとい、静寂と冷気に包まれた深夜の神域を歩まれます。照明がほとんど落とされた神域で、玉砂利を踏みしめながら一歩一歩進む所作には、強靱な精神力と体力が求められます。
このほか、2月の祈年祭(としごいのまつり)、6月と12月の月次祭(つきなみのまつり)といった「三節祭」にも祭主として奉仕されます。宮中祭祀と密接に呼応しながら、日本最高峰の聖域で祈りの中心に立ち続けることこそが、祭主の担う唯一無二の役割です。