インターネット上のQ&AサイトやSNSで頻繁に見受けられるのが、「四季刻歌」のタイトルの読み間違いです。漢字をそのまま音読みして「しきこくか」あるいは「しきこくうた」と読んでしまうケースが散見されますが、公式な読み方は「しきときうた」です。
なぜ「刻」を「とき」と読ませているのか。その背景には、日本語特有の風情ある言葉選びと、楽曲の根幹をなすテーマ性が色濃く反映されています。「刻(とき)」とは、単なる物理的な時間の経過ではなく、心に深く刻み込まれる一瞬や、二度と戻らない尊い瞬間を指し示す表現です。春、夏、秋、冬と移ろいゆく四季の断片(刻)を歌として紡ぎ出すという、作者・綿飴氏の緻密な世界観がこの5文字のタイトルに凝縮されています。
ボーカロイド黎明期から成熟期にかけては、言葉遊びや独特の訓読み・当て字を用いたボカロ 難読曲名が数多く生まれました。『四季刻歌』もその好例であり、耳で聴く美しさと文字で見る重厚さの双方が意図的に計算されたネーミングと言えます。