ニシンの山椒漬け作りで成否を分ける最大の要因は、身欠きニシンの下処理にあります。乾物特有の酸化した魚油と臭みをいかに抜くかが、仕上がりの透明感ある旨味を左右します。
身欠きニシンには、芯まで完全に乾燥させた「本干し」と、水分を半分ほど残した「八分乾燥(ソフト)」の2種類が存在します。伝統的な山椒漬けの歯ごたえと旨味を追求するなら本干しニシンが最適です。
下処理の具体的なステップは以下の通りです。
- ステップ1(米のとぎ汁で戻す):本干しニシンをバットに並べ、たっぷりの「米のとぎ汁」に浸します。冷蔵庫で丸1日〜2日間じっくり置くことで、米ぬかの成分がニシンの酸化した脂を吸着し、驚くほど身が柔らかく戻ります。
- ステップ2(ウロコと皮の処理):戻したニシンを取り出し、指先で表面をなでるようにして残った細かなウロコや黒い皮膜を丁寧に洗い流します。
- ステップ3(熱湯による油抜き):食べやすい一口大(4〜5cm幅)に切った後、サッと熱湯を回しかけて冷水に取ります。表面の浮き出た余分な油を一気に落とすことで、臭みの原因を完全に遮断します。
この徹底した下処理を行うだけで、魚の生臭さは消え去り、山椒の香りと調味液が芯まで染み込みやすい状態が完成します。